名古屋地方裁判所 昭和51年(わ)672号 判決
本店の所在地
名古屋市南区宝生町四丁目三〇番地
法人の名称
株式会社 生方製作所
代表者の住居
名古屋市天白区中砂町五四九番地
代表者の氏名
生方進
本籍
名古屋市千種区鍋屋上野町七五三番地の六
住居
同市天白区中砂町五四九番地
会社役員
生方進
大正一二年三月二八日生
本籍
名古屋市南区駈上町一丁目八番地の三
住居
右同所駈上住宅D棟一五八号
会社役員
松下直利
昭和一〇年一〇月一〇日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官岩田一出席のうえ審理をとげ、次のように判決する。
主文
被告会社株式会社生方製作所を罰金一、〇〇〇万円に、被告人生方進を懲役六月に、同松下直利を懲役八月に、それぞれ処する。
この裁判確定の日から三年間、被告人両名に対し、右各刑の執行を猶予する。
理由
(罪となる事実)
被告会社株式会社生方製作所は、名古屋市南区宝生町四丁目三〇番地に本店を置き車両用電装品・電気機器の製造販売を営むもの、被告人生方進は同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているもの、同松下直利は同会社の取締役経理部長として経理事務を担当するものであるが、被告人生方進・同松下直利は、共謀のうえ、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、公表帳簿に部品費・賞与を架空に計上したり、たな卸を一部除外する等して得た収入を架空名義で株式を購入するなどして所得の一部を秘匿したうえ、
第一 同会社の昭和四七年一〇月一日から昭和四八年九月三〇日までの事業年度において、所得金額が一億〇、二一七万五、五七二円であり、これに対する法人税額が三、五五二万〇、八〇〇円であるのにかかわらず、昭和四八年一一月二八日、名古屋市熱田区花表町一丁目一四番地所在熱田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、三四一万七、七一〇円、これに対する法人税額が二、一二九万〇、九〇〇円である旨の過少の法人税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一、四二二万九、九〇〇円をほ脱した。
第二 同会社の昭和四八年一〇月一日から、昭和四九年九月三〇日までの事業年度において、所得金額が二億一、一一七万五、六一九円であり、これに対する法人税額が八、〇八八万一、五〇〇円であるのにかかわらず、昭和四九年一一月二九日、前記熱田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億三、二七三万二、五〇九円、これに対する法人税額が四、九五二万七、二〇〇円である旨の過少の法人税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額との差額三、一三五万四、三〇〇円をほ脱した。
(証拠の標目)
右の事実は、被告人両名の当公判廷における供述、第一回公判調書添付の検察官請求証拠目録中、請求番号1から36までの各証拠並びに第三回公判調書添付の検察官請求証拠目録中、請求番号1から3までの各証拠を総合して認める。
(法令の適用)
被告会社及び被告人の判示各所為は法人税法第一五九条第一項、第二項、第一六四条第一項、刑法第六〇条に該当するところ、被告人生方及び同松下についていずれも懲役刑を選択し、以上は同法第四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法第四七条、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内、罰金については同法第四八条第二項により各罪につき定めた罰金額の合算額の範囲内で、被告会社株式会社生方製作所を罰金一、〇〇〇万円に、被告人生方を懲役六月に、同松下を懲役八月にそれぞれ処し、諸般の情状を考慮し、同法第二五条第一項により、この裁判確定の日から三年間被告人両名に対し右各刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 橋本享典)